私たちは、自分で考えているようで、自分で考えていない。その考えは、誰かに、影響されて、その多くはマスコミに影響されて、または肉親に洗脳されて、生まれてきたものがほとんどだ。私は親とは正反対の意見だといってる人も、正反対となった理由を考えてみるがいい。親からの絶大な影響がそこにはあるだろう。オリジナリティのある個人から、オリジナリティのある思想が生まれるはずなのに、そもそもオリジナリティのある個人という言葉そのものが矛盾をはらんでいる。個人というのは、個人として生まれない。父と母がいて、それから世の中に遺伝子を携えてデビューする。そう、個人は、ふたつの性の特徴をひきつぎ、さらには育てられる環境によって、たっぷりと他人の毒を浴び、または清く正しい聖水を注がれるだろう。いずれにしろ、個人の成長は他者の影響無しにはありえない。